映画『ファーストキス 1ST KISS』は面白い?つまらない?正直レビュー|過去を塗り替え、最愛の人を救えるか。松たか子×松村北斗が贈る切実な愛の記録

映画『ファーストキス 1ST KISS』は面白い?つまらない?正直レビュー|過去を塗り替え、最愛の人を救えるか。松たか子×松村北斗が贈る切実な愛の記録 映画

🎬 ひとことで言うと

シネくま
シネくま

「愛する人を救うため、私は何度も”あの日”をやり直す。過去を書き換え、未来を塗り替えるための、残酷で美しい試行錯誤」


結論:映画『ファーストキス 1ST KISS』は面白い?つまらない?

「もし、あの日に戻れたら」という誰もが抱く願いを、俳優陣の圧倒的な表現力で描き切った、心に深く突き刺さる傑作。

🔥 9 / 10
★★★★★★★★★☆

傑作クラス——松たか子と松村北斗の演技が、非現実的な設定を血の通った愛の物語へと昇華させる

松たか子の年齢を感じさせない繊細な演じ分けと、松村北斗の佇まいから漏れ出す「優しさ」が、非現実的な設定を血の通った物語へと昇華させています。夫を救おうと孤軍奮闘するカンナの姿は、観る者の心に大切な人と過ごす時間の尊さを猛烈に問いかけてきます。

タイムリープものとしてのスリルと、大人のラブストーリーとしての深みが見事に融合しており、最後まで目が離せない展開が続きます。

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※本ページはプロモーションを含みます。

基本情報

配信Amazon Prime Video(独占見放題配信)
公開/放送開始2025年2月7日(劇場公開)
上映時間123分
ジャンルラブロマンス、ファンタジー、ヒューマンドラマ

あらすじと作品の特徴(ネタバレなし)

坂元裕二脚本×塚原あゆ子監督の初タッグによる完全オリジナルラブストーリー。坂元裕二がカンヌ国際映画祭脚本賞受賞後に手がけた初の劇場オリジナル作品であり、二人はドラマ『カルテット』『大豆田とわ子と三人の元夫』でも組んだ黄金コンビ。主題歌はaikoの書き下ろし楽曲「ファーストキス」。

結婚して15年、長く倦怠期が続いたまま夫の駈(松村北斗)を不慮の事故で亡くした硯カンナ(松たか子)。第二の人生を歩もうとしていた矢先、首都高のトンネルで強烈な衝撃を受けたカンナは、15年前——駈と出会う直前の2009年へとタイムトラベルする。

若き日の駈と再会し、やはり彼のことが好きだったと気づいたカンナは、もう一度恋に落ちると同時に「15年後に起こる事故から彼を救う」決意を固める。しかし過去に干渉するたびに、世界は少しずつ予想もしなかった歪みを見せ始める——。

リリー・フランキー(駈の大学教授・天馬市郎役)、吉岡里帆(教授の娘・里津役)、森七菜(カンナの同僚・杏里役)、竹原ピストル(宅配便の配達員役)が共演。物理学の監修にKEK(高エネルギー加速器研究機構)、古生物学の監修に専門家が参加した本格派の作り込みも特徴。

正直レビュー:ここが良かった・悪かった

良かった点:実力派俳優が紡ぐ「声と佇まいのリアリティ」

  • 「時間の厚み」を体現する松たか子の演技過去パートと現在パートで、表情や立ち振る舞いだけで年齢の違いを完璧に表現しており、違和感なく物語に没入させてくれます。「未来を知っている妻」が、まだ自分を知らない夫に向ける眼差しは、言葉以上に多くを物語っています。坂元裕二脚本作への出演は4作目で、この世界観を誰より体現できる俳優であることを本作でも証明しています。
  • 松村北斗が見せるキャラクターの二面性29歳の若き駈から45歳の老けメイクまで、声のトーンと佇まいの変化だけで別人のように演じ分ける技術が光ります。脚本にも演出にもなかった「カンナの靴を揃えて置く」という自然な芝居が生まれたのも松村北斗ならではで、夫・駈という人間の誠実さと優しさが細部からにじみ出ています。

気になった点:運命を書き換えることの「重圧」と不自由さ

  • タイムリープのルールがもたらす緊張感と心理的負荷カンナが過去に干渉するたびに心身に大きな負担がかかる演出は物語に強烈な緊迫感を与えています。単なる「やり直し」ではなく、命を削るような必死さが伝わってくる反面、観る者にも相当な心理的重さを強いる構造になっています。
  • 作為を超えた「運命の引力」への恐怖カンナの善意が必ずしも幸福な結果に直結しないという時空の不条理さが描かれます。「果たして未来は変えられるのか?」という問いが終盤まで重くのしかかり、祈るような気持ちで彼女の行く末を見守ることになります。

向いている人・向いていない人の特徴

向いている人

✅ 向いている人
  • 俳優の繊細な演技をじっくり堪能したい人
  • 「もし人生をやり直せたら」という問いに深く向き合いたい人
  • 切なさと温かさが同居する、質の高い日本映画を求めている人

向いていない人

✗ 向いていない人
  • 過去を変えることがすべてお気楽なハッピーエンドに繋がる話を望む人
  • 頻繁な時間移動や複雑な人間関係のパズルを追うのが苦手な人
  • 結末まで息苦しい緊張感が続く展開に耐えられない人

映画『ファーストキス 1ST KISS』に原作はある?

本作は坂元裕二による完全オリジナル脚本の映画です。原作小説・漫画はありません。

坂元裕二がカンヌ国際映画祭脚本賞(『怪物』)受賞後に初めて手がけた劇場オリジナル作品であり、「これってもしかしたらタイムトラベルをしなくても、自分たちの気持ちや行動でやり直していけるんじゃないだろうか」という問いを観る者に届けたいという思いから書き上げられた作品です。

深掘り考察:映画『ファーストキス 1ST KISS』死を前にして完成した、二人の愛の形

①のカンナによる「歴史修正」の試みと限界

物語を牽引するのは、夫の死を防ぐために過去を奔走する「①のカンナ」だ。彼女は特定の行動を阻止しようと画策するが、運命の濁流は止まらない。電車の停止ボタンを押させたことで、より大きな事故に繋がってしまう皮肉は、人間が運命をコントロールすることの不可能性を冷徹に示している。

何度も書き換えを試みる中で、ついには「過去の自分(若いカンナ)」と対面してしまい、物理的な拒絶に襲われるシーンは、この試行錯誤の限界を象徴している。

「かっこいい死に方」に納得した、駈の覚悟

自分が駅のホームで赤ちゃんを救って命を落とすと知ったとき、駈が放った「悪くない、なかなかかっこいい死に方だ」という言葉。彼は未来から来たカンナとの対話を通じて、自らの人生の幕引きに「意味」を見出した。

未来の自分を客観的に反省し、「死ぬと分かっていても今の君に会いたい」と告白するその姿は、物理的な死を超えて二人の愛が精神的に完結した瞬間だ。①のカンナの奮闘は死を回避することはできなかったが、不器用だった夫に「妻への愛情」を再確認させるための、尊い寄り道となった。

不仲の裏に隠されていた、夫の「うまく言えない愛情」

本作で最も胸を打つのは、過去を書き換える前の二人が決して良好な夫婦関係ではなかったという事実だ。すれ違い、不満をぶつけ合っていた二人。しかしそんな険悪な時期であっても、駈は「3年待ちの餃子」を密かに予約していた。

本来は「二人で食べるはずだった日常の約束」が、死によって「独り残された妻への不器用な贈り物」へと変質してしまった事実はあまりに残酷だ。うまく伝えることはできなかったけれど、彼はきちんとカンナのことを考えていた。その「未処理の愛」が、手紙という形になって、絶望の淵にいた②のカンナへと届けられる。

焦げた餃子が物語る「取り返しのつかない愛」

物語の最後に届く「3年待ちの餃子」。もし未来が変わっていないのであれば、その餃子は焦げてうまく焼けていないという、物語冒頭の顛末を繰り返すのかもしれない。

映画はその直接的な悲劇を割愛しているが、そこに漂うのは「死んでもなお届けようとした愛」と「それを二人で分かち合えない虚しさ」だ。やり直しのきかない人生だからこそ、今ある時間を大切にすべきだという、あまりにも切実で強烈なメッセージがここに集約されている。

総評:観るべきか迷っている方へ

映画『ファーストキス 1ST KISS』は、「もし、あの日に戻れるとしたら」という問いを、松たか子と松村北斗という最高の俳優二人が全身で体現した傑作です。

過去をやり直す機会が与えられたとき、人は愛する人のためにどこまで足掻けるのか。物語の行く末に何が待っているのか、その答えはぜひご自身の目で確かめてください。

本作を観終わったとき、隣にいる人と過ごす何気ない今日を、もっと大事に生きなければと思うはずです。胸を締め付けるような切なさの奥には、静かで深い優しさが流れています。

STREAMING

本作品はAmazon Prime Videoで独占配信中。
プライム会員は追加料金なしで視聴可能です。

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※配信状況は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。


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