ドラマ『フィクサー Season2』は面白い?つまらない?正直レビュー|鈴木保奈美×江口のりこの法廷対決と本郷吾一の結末を考察

ドラマ『フィクサー Season2』は面白い?つまらない?正直レビュー|鈴木保奈美×江口のりこの法廷対決と本郷吾一の結末を考察 ドラマ

🎬 ひとことで言うと

シネくま
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法廷という密室で、フィクサーが裏から戦う——三部作の核心に触れるシーズン。西田敏行が体現した昭和の怪物の幕切れは、もう二度と見られない。

シネうま
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西田敏行と唐沢寿明の最終対話だけで、このシーズンを観る価値がある。まずはSeason1を観るのよ


結論:ドラマ『フィクサー Season2』は面白い?つまらない?

ドラマ『フィクサー Season2』は、三部作の中で最も「核心」に近い密度を持つ一作。Season1の「政界工作」から一転、「法廷サスペンス」へと舵を切ったことで、シリーズの緊張感が最高潮に達した。

8 / 10
★★★★★★★★☆☆

法廷という密室で「裏から戦う」設楽の二重構造と、西田敏行演じる本郷吾一の存在感が、このシリーズに忘れられない重さを刻んだ

設楽が直接手を下せない「法廷」という舞台を選んだことで、動き方がSeason1より一段階複雑になっています。杉谷弁護士が表で戦い、設楽が裏で工作する二重構造は、全5話を通じて緊張感を途切れさせません。

そして本作を別格にしているのは、西田敏行演じる本郷吾一の圧倒的な存在感です。昭和から日本を牛耳ってきた怪物と設楽の対決は、シリーズ全体でも最も重い場面を生み出しました。Season1を観た人ほど、この一作の密度に引き込まれるはずです。

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※本ページはプロモーションを含みます。

基本情報

配信Amazon Prime Video ほか
公開/放送開始2023年7月9日(放送開始)
話数全5話
ジャンルノンストップサスペンス、社会派ミステリー

あらすじと作品の特徴(ネタバレなし)

不正疑惑を追っていた新聞記者・渡辺達哉(町田啓太)が、都知事・横宮の妻への傷害事件で突然逮捕される。冤罪だと確信した設楽拳一(唐沢寿明)は、破格の報酬で敏腕弁護士・杉谷菜穂子(鈴木保奈美)を雇い、「裏から」戦いに乗り出す。

担当検事はかつて設楽自身を刑務所に送った因縁の相手・佐々木雪乃(江口のりこ)だった。設楽は達哉と面会し、自分が不正疑惑の情報提供者「K」だったことを明かし、戦う意志を取り戻させる。

法廷の外では伝説のフィクサー・本郷吾一(西田敏行)が動き、設楽の右腕だったはずの丸岡慎之介(要潤)の存在も不穏な影を落とす。

なぜ設楽は、達哉の弁護にここまで執着するのか——Season1では語られなかったその理由が、Season2終盤に向けて静かに輪郭を帯びていく。

唐沢寿明、西田敏行、鈴木保奈美、江口のりこ、町田啓太、要潤ほか出演。脚本:井上由美子、監督:西浦正記/池辺安智。WOWOWオリジナルドラマ、2023年7〜8月放送・全5話。

正直レビュー:ここが良かった・悪かった

良かった点:「法廷×フィクサー」という構造の妙と、鈴木保奈美×江口のりこの因縁

  • フィクサーが「直接手を下せない」法廷という舞台の緊張感。Season1の「政界の盤面を動かす」構造に対し、Season2は「法廷の中では弁護士が戦い、設楽は外から支える」という二重構造を採用している。設楽が表に出られない分、杉谷弁護士の動きと設楽の水面下の工作が交互に進む展開は、シリーズの中でも特に密度が高い。設楽が直接動けないからこそ、その「動かし方」の巧みさが際立つ。
  • 鈴木保奈美×江口のりこ——元上司と後輩の法廷対決。かつて同じ検察にいた二人が、弁護士と検事として正面から対峙する構図は本作最大の見どころのひとつだ。二人の因縁が明かされるにつれ、法廷対決に「組織の腐敗」対「個人の正義」という重層的な意味が加わっていく。

気になった点:玲子の出馬計画の掴みにくさと、序盤のテンポ

  • 沢村玲子の都知事選出馬計画——設楽の真意が見えない。設楽が玲子に都知事選出馬を打診するくだりは重要な動線のひとつとして描かれるが、その計画がどこへ向かうのかが最後まで掴みにくく、視聴者によっては置いてきぼり感が残る。
  • 第1〜2話の展開がやや冗長。設楽・杉谷・雪乃それぞれの立ち位置の説明に尺を取られる部分がある。本郷が表舞台に出てくる第3話以降と比べ、序盤の密度が薄く感じられる人もいるだろう。

向いている人・向いていない人の特徴

向いている人

✅ 向いている人
  • Season1を観て「本郷吾一をもっと見たい」と思った人
  • 法廷サスペンスと政治の裏側が融合した重厚なドラマが好きな人
  • 西田敏行の「昭和の怪物」としての圧倒的な存在感を堪能したい人

向いていない人

✗ 向いていない人
  • Season1を観ていない状態で単体で楽しもうとしている人
  • テンポの速い展開や派手なアクションを求めている人
  • 善悪がはっきりした勧善懲悪の結末を期待している人

深掘り考察:ドラマ『フィクサー Season2』本郷吾一の死が意味するもの|怪物の自殺と設楽が継いだ「影の玉座」

本郷吾一はなぜ「自殺」を選んだのか

最終話、設楽は本郷の屋敷を訪ね、丸岡はもう戻らないと告げ、拳銃を返す。検察の捜査が本郷に及ぶことを静かに伝えた設楽に対し、本郷は問い返す——「お前は何をしたいんだ」。設楽は「世の中を変えること」と答える。そして本郷は、その夜に自らの命を絶った。

本郷の自殺は「追い詰められた悪人の末路」ではない。昭和から数十年にわたって日本の政財界を操り続けた男が、設楽との最終対話を経て「自分の時代は終わった」と判断した——これは敗北ではなく、怪物としての引退宣言だ。

本郷は「政治は欲望の世界」と言い切り、クリーンな理想論を嫌い続けた男だ。

しかし設楽が語った「世の中を変えること」という言葉には、欲望でも保身でもない別の動機が宿っていた。それを聞いた本郷が「自分が乗りこなせない相手だ」と直感したとき、彼に残された選択肢は自らの幕を引くことだけだったのかもしれない。

本郷が恐れたのは逮捕でも失脚でもない。自分が理解できない論理で動く男に日本を渡すことへの、昭和の怪物としての深いプライドだったのではないか。

本郷と雪乃——父と娘の「支配という名の愛情」

本郷吾一の最も重要な側面は、娘・佐々木雪乃(江口のりこ)との関係だ。雪乃は父が誰かを長年知らずに生きてきた。

本郷は雪乃を検察に送り込み、自分の意向を通じさせる「駒」として使い続けていた。しかしそれが本郷なりの「娘への愛情の形」でもあった。

本郷は雪乃に直接何かを与えるのではなく、「強い場所に立たせる」ことを愛情と解釈した。しかしその「守り方」は、雪乃を自分の道具として縛ることと区別がつかなかった。

雪乃が本郷の本性——達哉を冤罪に陥れるために自分を利用していたという事実——を知ったとき、彼女の心が揺れ動く場面は本作で最も人間的な瞬間だ。

「正義を見つけなさい」という設楽の言葉を受けて、雪乃は法廷で達哉の無罪を告げる。自分を育てた父の意向に背いたその選択が、本郷の最期を早めた一因でもある。

本郷が最後に負けたのは、政敵に対してではなかった。自分が育てた娘の「個人の正義」に対して負けた——昭和の怪物の幕切れとしては、これ以上ふさわしい結末はないだろう。

丸岡の「引き金を引けなかった」理由——恩義という名の支配からの解放

本郷から設楽を始末するよう拳銃を渡された丸岡は、設楽を呼び出す。設楽は丸岡の意図に気づきながらも、逃げることなく「お前に殺されても仕方ない」と覚悟を見せた。

しかし丸岡は引き金を引けなかった。

本郷が丸岡に与えたのは「恩義という名の支配」だった。丸岡は本郷への忠誠を「自分の意志」だと思い込んでいたが、実際にはそれは本郷が設計した服従の構造だった。

刑務所で設楽が丸岡に示したのは、それとは異なる「対等な信頼」だった。命令ではなく、人間として向き合う関係。

引き金を引けなかった瞬間、丸岡は初めて本郷の支配と自分の意志を区別した。それは設楽への忠誠ではなく、自分自身の「人間としての選択」だった。

「日本を乗りこなせ」——本郷が設楽に残した言葉の意味

本郷の最期の言葉は「坊主、日本を乗りこなせ」だった。設楽に拳銃を渡す前に告げたこの言葉は、単なる負け惜しみではない。

幼い頃、本郷は設楽に「ヒーローになりたいなら政治家になれ。日本を乗りこなすんだ」と語りかけていた。最期にその言葉をそのまま設楽に返したことは、本郷が設楽を後継者として認めたことの証だ。

怪物は敗れたのではなく、自分が育てた男に「次はお前の番だ」と玉座を渡して退場した——そう読むと、本郷の自殺はより深い意味を持つ。

設楽はその言葉を受け取って何を感じたのか。ドラマは描かない。しかしSeason3への問いとして、この言葉は重くのしかかる。

設楽が達哉にここまで執着した理由——父と息子という真実

Season2終盤、帰宅した渡辺は母・響子から衝撃の事実を告げられる。設楽が達哉の実の父親だった。

響子が設楽のもとを去ったのは、息子が設楽の影響を受けて危険な目に遭うことを恐れたためだった。しかし達哉を育てるうちに、息子もまた「何かを変えようとせずにはいられない人間」だと気づいた——そのとき響子は、息子の中に設楽を見た。

設楽が達哉を救おうとしたのは「見どころがある」という建前だけではなく、血の繋がった息子への愛情だった。

しかし設楽はその事実を自ら告げることなく、すべてが終わるまで黙っていた。この「黙って動く」姿勢こそが、設楽という男の本質を最もよく表している。

雪乃の「父への恩返し」——復讐か正義か

無罪論告を告げた後、雪乃は菜穂子に「検察を辞めるのか」と問われる。雪乃の答えは「辞めない」だった。

「本郷のやってきたことを徹底的に追及したい。それが父への恩返しだと思っている」——この台詞が雪乃というキャラクターの集大成だ。

父に利用され、父のために働き、父の本性を知って裏切り、最終的に父の罪を追う側に回る。雪乃の「恩返し」は、一般的な意味での感謝ではなく、本郷が生きた世界の汚れを正面から引き受けるという覚悟の表明だ。

育てた娘にそう言わしめた本郷の幕切れは、やはり敗北以外の何物でもない。

達哉への出馬打診と須崎との握手——Season3への扉

釈放された達哉に、設楽は都知事選への出馬を打診する。父の正体を知った直後の達哉が設楽の部屋を訪れると、そこには須崎幹事長がいた。

設楽は須崎を次期総理の座に就かせる代わりに都知事選への協力を取り付けていた。

迷いながらも須崎と握手する達哉——このラストシーンはSeason2の幕切れであり、Season3の出発点だ。

「表舞台に立てる誠実さ」を持つ息子を政治に引き込もうとする設楽の意図の全貌は、Season3で明かされていく。

「設楽が次の黒幕になる」という逆説

Season2で設楽が行ったことを整理すると、弁護士を金で雇い、検察を動かし、政治家を操り、伝説のフィクサーを自殺に追い込んだ。これは「善」の行為ではない。設楽は達哉を救いながら、同時に本郷が座っていた「影の玉座」を静かに引き継いだ。

設楽の最終目的が「世の中を変えること」だとしても、そのためにどんな手段を使うかに制限はない。

本郷との違いは「欲望のために動くか、理想のために動くか」だけであり、使う手段は驚くほど似ている。そして今や息子まで巻き込んだ。

設楽が「世の中を変える」と言うとき、その言葉は希望に聞こえる。だが彼が使う方法は、本郷がかつて使ったものとどこが違うのか——その問いへの答えは、Season3に持ち越された。

総評:観るべきか迷っている方へ

ドラマ『フィクサー Season2』は、三部作の中で最も「核心」に近い一作です。本郷吾一という怪物の存在感と、Season2で描かれた人間たちの選択が、Season3のすべての伏線になっています。

西田敏行が体現した「昭和の怪物」の幕切れは、もう二度と同じものが見られない。その意味でSeason2は、フィクサーというシリーズの中で最も重い一話を持つシーズンです。


※本作品はAmazon Prime Videoで配信中。プライム会員は追加料金なしで視聴可能です。(Season1を観てから来てください。その方が、本郷吾一との最後の対話が10倍重くなります)

STREAMING

本作品はAmazon Prime Videoで配信中。
プライム会員は追加料金なしで視聴可能です。

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