映画『恋わずらいのエリー』は面白い?つまらない?正直レビュー|少女漫画的恋愛妄想に全力で振り切った、評価が真っ二つに割れる作品

映画『恋わずらいのエリー』は面白い?つまらない?正直レビュー|少女漫画的恋愛妄想に全力で振り切った、評価が真っ二つに割れる作品 映画
ひとことで言うと
シネくま
シネくま

女性のための、女性による、女性向け恋愛妄想に全力で振り切った映画。

シネうま
シネうま

「好きな人に妄想バレしたら?」って感覚、女性なら一度は夢見るやつよね。


結論:映画『恋わずらいのエリー』は面白い?つまらない?

少女漫画の恋愛妄想をそのまま映像化した作品で、ターゲットである女性には刺さる設計になっている。一方で、その構造に乗れない人には入口がほぼない映画でもある。

これは自分のための映画じゃない——そう最初に宣言しておく。ただしそれは「つまらない」と同義ではなく、「誰に向けて作られているか」が明確すぎる作品だということだ。

宮世琉弥が演じるオミくんは、表向き爽やかで実は口が悪い「ウラオモテ男子」。そのギャップ萌えを成立させるには、演じる側に相当な引力が必要になる。ただ、その引力がどこから来るのかが正直わからなかった。直球型の熱量で押してくるタイプの演技とは明らかに温度が違う。じわっとした存在感はあるが、「このシーンで心臓が止まる」という瞬間は来なかった。

ストーリーの展開速度も気になった。妄想がバレて、急接近して、三角関係になって——という流れが、感情の積み上げが追いつく前に次のフェーズに進む。漫画のコマ割りをそのままなぞったような密度で、映像として呼吸する間がない。

それでも、ターゲット層の女性が観ると評価はまるで変わるはずで、そこだけは疑いようがない。

😴 3 / 10
★★★☆☆☆☆☆☆☆

女性視聴者には別スコアが成立しうるが、少女漫画的な恋愛ファンタジーに乗れない人には入口がほぼない。展開の速さも重なって、ついていけないまま終わった。

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※本ページはプロモーションを含みます。

基本情報

配信Amazon Prime Video ほか
公開/放送開始2024年3月15日(劇場公開)
上映時間108分
ジャンル 青春ラブコメディ、学園ラブストーリー

あらすじと作品の特徴(ネタバレなし)

地味な女子高生・エリー(原菜乃華)の日課は、クラスの爽やか王子・オミくん(宮世琉弥)を眺めながら、SNSに「恋わずらいのエリー」の名前で妄想をつぶやくことだった。ところがある日、オミくんには表の顔とはまるで違う口の悪い一面があることを知ってしまう。さらに自分のアカウントまでバレるという最悪の事態に。

ところがオミくんはエリーを面白がり、まさかの急接近。そこにクラスメイトの要くん(西村拓哉)も「恋わずらいのエリー」であることを知り、距離を詰めてくる。思いがけない三角関係が動き出す。

監督は三木康一郎、脚本はおかざきさとこ。主題歌はNiziUの「SWEET NONFICTION」で、メンバーが生徒役として本編にも出演している。宮世琉弥と原菜乃華は本作が3度目の共演で、周囲には西村拓哉、白宮みずほ、藤本洸大、綱啓永、小関裕太と若手が揃っている。

正直レビュー:ここが良かった・悪かった

良かった点:原菜乃華の表情と、ターゲットへの振り切り方

  • 原菜乃華の表情芸が光る
    コメディ寄りの場面でも感情の細部が出ていて、画面映えする。エリーというキャラクターが成立しているとしたら、ほぼ彼女の力量によるものだろう。変顔も含めて監督に相当要求されたらしいが、その労力が活きている。
  • ターゲットへの振り切りが潔い
    少女漫画的な恋愛妄想に乗れない層に配慮せず、女性視聴者だけに照準を絞った設計になっている。「妄想が現実になる」という夢をそのまま届けようとする姿勢は、ブレていない。
  • 若手キャストの顔ぶれ
    宮世・原の二人だけでなく、西村拓哉や小関裕太といった面々が周囲を固めている。それ自体がひとつのコンテンツとして機能している側面もある。

気になった点:展開の速さと、きゅんの根拠が追いつかない問題

  • 感情の積み上げより展開優先になっている
    妄想バレ→急接近→三角関係という流れが、感情の準備が整う前に次のフェーズへ移ってしまう。「なぜここでこんなにきゅんとするのか」が論理的に追えない場面が続く。
  • オミくんの引力が設定頼みになっている
    「ウラオモテ男子」という設定は面白いが、そのギャップが実際の場面では十分に発動していない。感情を押し出す熱量型の演技でぐいぐい来るタイプがこの役をやっていたら、まったく違う体験になっただろうという想像は消えなかった。
  • 少女漫画的な恋愛妄想に乗れない人には入口がない
    「SNSで妄想をつぶやく」「推しのウラの顔を知ってしまう」という共感ポイントが特定の感覚に向けて設計されていて、そこに乗れない場合は物語の入口がほぼない。

向いている人・向いていない人の特徴

向いている人

  • 少女漫画の「妄想が現実になる」展開が好きな人
  • 宮世琉弥・原菜乃華のファン、もしくは推している人
  • キャラクター同士のきゅんな掛け合いだけを楽しみたい人
  • 深く考えずに雰囲気で観られる青春ラブコメが好みの人
  • NiziUが好きで、出演シーンも込みで楽しみたい人

向いていない人

  • 少女漫画的な恋愛妄想に入り込めない人
  • 恋愛映画に心理的なリアリティを求める人
  • 展開のテンポより感情の積み上げを重視する人
  • 「なぜこのシーンで惹かれるのか」の根拠を追いたい人
  • 直球型・熱量型の演技を期待している人

映画『恋わずらいのエリー』に原作はある?

ある。藤ももによる同名少女漫画が原作で、講談社「月刊デザート」にて2015年から連載されていた全12巻の作品。累計発行部数は210万部を超えており、2018年には第42回講談社漫画賞少女部門にノミネートされた。

急展開が多いと感じるとすれば、それは原作の密度を限られた尺に圧縮した結果だろう。漫画では積み上げられていた感情の文脈が、映像では省略されやすい。原作既読者と未読者で受け取り方がかなり変わる可能性がある。

深掘り考察:「妄想が現実になる」という少女漫画的ファンタジーの構造

この映画が「体験型コンテンツ」として設計されている理由

この映画はドラマとして観るよりも、「感覚を体験させる装置」として観たほうがしっくりくる。物語の論理より、「もし推しに妄想をバレたら?」という仮定の感情を追体験させることが目的になっているからだ。

オミくんが「その妄想、叶えてあげてもいーよ?」と言う場面の機能は、リアリティではなく感情的なトリガーとして置かれている。現実でこんな展開にはならないとわかっていながら乗る、その体験こそが少女漫画的ファンタジーの核心だろう。その構造に乗れれば成立するし、外から見ると滑稽に映る——という二分法が、この映画の評価をそのまま分けている。

宮世琉弥の存在感とオミくんというキャラクターのズレ

宮世琉弥の持ち味は、強引に引っ張るタイプではなく、気づいたら隣にいたという種類の存在感だと思っている。その静けさは「ウラオモテ男子」の二面性と相性がいい場合もあるが、「きゅんと来させる」熱量の点では物足りなく感じさせることもある。

この映画では後者のほうが勝ってしまった印象だった。口が悪い裏の顔を出す場面でも整いすぎていて、ギャップが爆発しない。それは彼固有の問題というよりも、求められる引力の種類とスタイルが合っていなかったということだろう。

三角関係が機能しなかった本当の理由

要くんが絡む三角関係は、展開の速さの犠牲になった部分が大きい。「なぜ要くんはエリーに興味を持ったのか」「なぜエリーの気持ちが揺れるのか」という根拠が薄いまま三角関係が成立してしまうので、緊張感が生まれない。緊張感がなければ、どちらに気持ちが動くかのドキドキも発生しない。

脚本の問題というよりも、実写化の宿命的な圧縮の問題だと思っている。原作の複数の山場を限られた尺に詰め込んだ結果として、感情の積み上げより「出来事の羅列」に寄ってしまったのだろう。

後半の駆け足と「これがやりたかった」演出問題

三角関係が発生してから終幕までの流れが、ひどく性急だった。障害らしい障害もないまま別れが起き、そのすぐ後によりを戻す。感情の積み上げが追いつく前に関係が動くので、「わかりやすい」と取るか「駆け足すぎる」と取るかで体験がまるで変わる。少女漫画的なテンポ感として受け入れられれば問題ないが、そこに乗れない場合は「なぜ今そうなる?」が連続する後半になってしまう。

一方で気になったのが、明らかに「これを撮りたかった」と伝わってくる場面の存在だ。性描写をぼかした表現をトレンド俳優に言わせる、という構図のシーンがいくつかある。それ自体が悪いわけではないが、物語の必然性よりも「このシーンを成立させたい」という意図が先行しているように見えた。

原作がどういう構成なのかはわからない。ただ映画として見たとき、後半は「削れるシーンを詰め込んだまま、必要な積み上げを省いた」という印象が残った。そのアンバランスが、終盤の駆け足感の正体だろうと思っている。

総評:観るべきか迷っている方へ

『恋わずらいのエリー』は、ターゲットが明確すぎるがゆえに評価が割れる映画だ。少女漫画的な恋愛ファンタジーに乗れる人には機能する場面が多く、そうでない人には終始置いてきぼりになる。その差は演技でも演出でもなく、映画自体の設計によるもので、どちらが正しいという話でもない。

3点という評価は「ただのアンチ」ではない。これは自分に合わなかった、という一人称の話であって、作品の存在意義は別にある。少女漫画のファンや宮世琉弥・原菜乃華の推しなら、満足度は高いはずだ。

迷っているなら、まず原作漫画を1巻読んでみるのがいい。そこで乗れると感じたなら映画も楽しめる。乗れないと感じたなら、映画も同じ結果になるだろう。


STREAMING

本作はAmazon Prime Videoで配信中。
プライム会員は追加料金なしで視聴可能です。

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シネうま
シネうま

乗れる人には全部が「きゅん」になるし、乗れない人には全部が「なぜ?」になる。評価が割れるのは当然よね

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