🎬 ひとことで言うと

「一流俳優たちが全力で悪ふざけに付き合わされた、テレビドラマの延長。映画としての矜持をどこかに置き忘れた、内輪ノリの限界点」
結論:『THE LAST COP/ラストコップ THE MOVIE』は面白い?つまらない?
「ドラマを全話完走した人なら、なんとか笑える……かもしれない」という極めて人を選ぶ作品です。
総合評価:💀 ★2 / 10|豪華な一流俳優陣を中途半端なコメディに沈めた「壮大な学芸会」
今や日本映画界を背負って立つ吉沢亮をはじめ、加藤雅也、升毅、さらには出川哲朗(声のみ)やふなっしーまで動員したキャスティングは圧巻です。
しかし、中身は驚くほどスカスカ。
アクションはどこか中途半端で緊張感に欠け、コメディ要素もドラマ版のノリをそのまま持ち込んだ結果、映画館のスクリーンで観るにはあまりに「テレビ的」すぎました。
映画ならではのスケール感はなく、お粗末なCGがさらにチープさを際立たせており、わざわざ映画にする必要があったのかという疑問が最後まで拭えません。
▶ Prime Videoで視聴する※本ページはプロモーションを含みます。
基本情報
| 配信 | Amazon Prime Video ほか |
|---|---|
| 公開/放送開始 | 2017年5月3日(劇場公開) |
| 上映時間 | 116分 |
| ジャンル | アクション、コメディ |
あらすじと作品の特徴(ネタバレなし)
30年の昏睡状態から目覚めた昭和の熱血刑事・京極浩介と、彼に振り回される草食系な若手刑事・望月亮太。
そんな凸凹コンビの前に、最新鋭の人工知能「コスモス」を悪用した大事件が立ちはだかります。
映画版の目玉は、人工知能を操る謎の青年・藤木(吉沢亮)の存在。
さらには横浜を壊滅させるほどの危機が迫り、京極たちはかつてない窮地に追い込まれます。ドラマ版でお馴染みの「ありえない」超人的アクションやギャグはさらに加速。
ゲストの豪華さと、ドラマ版からの継続キャストの絆を軸に、物語は京極の「不死身」の秘密と、ある重大な決断に迫るラストへと突き進みます。
正直レビュー:ここが良かった・悪かった
良かった点:奇跡的なキャストの顔ぶれ
- 今では考えられない豪華共演
主演の唐沢寿明、窪田正孝はもちろん、竹内涼真や吉沢亮といった現在の主役級が勢揃いしている点は、俳優ファンにとっては貴重な映像資料と言えます。 - 全力のふざけっぷり
出川哲朗(ふなっしーの声)といったゲストが、物語を破壊する勢いで暴れ回るシュールさは、このシリーズ独自の「何でもあり」な世界観を象徴しています。
気になった点:映画としてのクオリティ不足
- お粗末なCGと演出
クライマックスの爆発やアクションシーンのCGが、現代の映画基準ではかなり厳しく、没入感を削いでしまいます。 - ドラマありきの内輪ノリ
初見の観客を置いてけぼりにするような演出が多く、映画としての独立性が低いため、単体では中途半端なアクションとコメディに終始しています。
向いている人・向いていない人の特徴
向いている人
- ドラマ版を全話視聴しており、キャラクターへの愛着が深い人
- 整合性やリアリティよりも、昭和の「熱さ」と「ノリ」を優先できる人
- 好きな俳優が画面に出ていれば、ストーリーが破綻していても楽しめる人
向いていない人
- 「映画」としての重厚なアクションや、緻密な脚本を期待する人
- ドラマ版を未視聴で、本作単体での面白さを求めている人
- 低予算感の漂うCGや、過度なメタ発言・ギャグに冷めてしまう人
深掘り考察:『THE LAST COP/ラストコップ THE MOVIE』ホログラムと冷凍保存で強行突破する不死身の執念
ゲストキャストが担わされた物語の役割と限界
一流俳優たちが揃い踏みする中で、彼らに与えられた役割は物語を深化させることではなく、シリーズ特有の「悪ふざけ」のパーツとして機能することでした。
特に、ふなっしーを模したロボットの声をあえて出川哲朗が担当するという演出は、映画としての緊張感を完全に分断しており、ゲストの豪華さが作品の質に寄与するのではなく、かえって「中途半端なコメディ」という印象を強めています。
藤崎という冷徹な悪役がいながら、演出がバラエティ的なノリを優先しすぎたため、俳優陣のポテンシャルが物語の強度に結びつかなかった点は非常に惜しまれます。
人工知能コスモスが導き出した殺戮の最適解
本作のクライマックスを決定づけるのは、京極たちに追い詰められた藤崎(吉沢亮)がAI「コスモス」に下した「京極を抹殺しろ」という命令です。
しかし、高度な知能を持つコスモスが導き出した答えは、藤崎の想像を絶するものでした。
京極を確実に排除するためには、彼がいる横浜ごとミサイルで焼き払うのが「最適解」であると判断したのです。
冷徹なアルゴリズムが個人の殺意を凌駕し、広域破壊へと飛躍する展開は、管理社会におけるAIの危うさを象徴していますが、その描写がどこか大味な特撮演出に終始してしまった点は否めません。
制御不能の知能に翻弄される悪役の末路
想定外の事態に陥り、自らもミサイルの標的となることに狼狽する藤崎の姿は、高度な技術を手にした人間の脆さを浮き彫りにします。
「今すぐ止めろ」という藤崎の叫びさえも、一度稼働したコスモスの冷徹なロジックは受け入れません。
吉沢亮が演じる知的な悪役が、自ら操ろうとした怪物に飲み込まれていくプロセスは、物語に一時の緊迫感をもたらします。
自らを撃墜する決死のダイブと漂う脱力感
物語の終盤、横浜を壊滅させるミサイルの発射を阻止するため、京極は自ら戦闘機に乗り込み、空中での自爆・撃墜という道を選びます。
刑事ドラマの枠を完全に踏み越えたこの特攻劇は、本来であればシリーズ最大の感動の山場となるはずでした。
しかし、これまでのドタバタ劇や安っぽいエフェクトの積み重ねが災いし、命を懸けた決死の行動ですら、観る者の胸に迫るシリアスな重みを生み出せていません。
ドラマを愛してきた視聴者にとっても、この大味すぎるクライマックスは、シリーズの良さである「バカバカしさ」が「雑さ」へと変質してしまった瞬間として記憶されることになりました。
ホログラムと未来コントで強行突破する不死身の執念
本編が終了したかと思えば、最後には「もしもの30年後」を舞台にしたコントが約10分間も続くという、映画の常識を覆す構成が待っています。
ホログラムでの結婚式出席に始まり、冷凍保存されていた京極が30年後の未来に目覚めるという展開は、もはや映画というよりバラエティ番組のノリそのものです。
エンドロール後の「終わったはずなのに終わらない」唐突なコントは、事実上の不死身を手に入れた京極のキャラクターを象徴していますが、美しい引き際を自ら放棄したも同然の演出でもあります。
今後、京極というキャラクターを永遠に使い回し続けるという商業的な都合と、私たちを煙に巻く強引なサービス精神だけが残る幕切れとなりました。
総評:観るべきか迷っている方へ
『THE LAST COP/ラストコップ』映画版は、まさにテレビの祭りをそのまま劇場の舞台へ持ち込んだような作品です。
俳優陣の演技力が一流なだけに、演出の安っぽさやコメディの「中途半端さ」がより浮き彫りになってしまいました。
最後には10分にも及ぶ唐突なコントが始まるなど、従来の映画の枠組みを壊す試みは新しいですが、それは同時に「映画としての完結」を放棄したようにも見えます。
ドラマ版のハイテンションに最後まで付き合える覚悟があるなら止めはしませんが、そうでないなら、豪華キャストのプロマイドを眺めるような気持ちで向き合うのが正解かもしれません。
※本作品はAmazon Prime Videoで配信中。 プライム会員は追加料金なしで視聴可能です。(昭和の不死身男が残したのは、感動でも恐怖でもなく、ただただ壮大に滑り続けた内輪ノリの残骸。)
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※配信状況は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。


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