映画『女子高生に殺されたい』は面白い?つまらない?正直レビュー|田中圭の怪演を無駄遣いする予告編詐欺の正体

映画『女子高生に殺されたい』は面白い?つまらない?正直レビュー|田中圭の怪演を無駄遣いする予告編詐欺の正体 映画

🎬 ひとことで言うと

「設定の瞬発力は抜群。だが、序盤から中盤までダラダラ続く『キャサリン探し』が、田中圭の静かな狂気を削ぎ落としてしまった不発作。」


結論:この映画は面白い?つまらない?

結論から言うと、本作は「予告編が一番よくできている」作品だ。導入のインパクトや田中圭の怪演への期待値は「10点満点」だが、本編はその熱量を維持できていない。

総合評価:💀 ★2 / 10|予告の完成度に騙されてはいけない。2時間待って見せられるのは「呆気ない結末」という虚無。

設定の面白さに対して物語の構成が致命的にまどろっこしく、序盤から中盤にかけて続く人格探しに付き合わされた末の肩透かし感は、エンタメとして非常に厳しいと言わざるを得ない。

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※本ページはプロモーションを含みます。

基本情報

配信Amazon Prime Video ほか
公開/放送開始2022年4月1日(劇場公開)
上映時間110分
ジャンルサイコ・スリラー

あらすじと作品の特徴(ネタバレなし)

進学校に赴任してきた東山春人(田中圭)は、爽やかな笑顔で生徒たちの信頼を勝ち取る「理想の教師」。しかしその正体は、自らの死を女子高生の手で完結させたいという究極の願望を持つ「連続被害者希望者」。

彼はその歪んだ宿願を果たすため、4人の女子高生を巧みに誘導し、平穏な学校生活の裏で着実に「自分が殺されるための完璧な舞台」を仕掛けていく。監督・城定秀夫が、古屋兎丸の衝撃的な原作を耽美かつ冷徹な視線で映画化したサイコスリラー。果たして、彼が選び抜いた少女たちの先に待ち受ける結末とは——。

正直レビュー:ここが良かった・悪かった

良かった点:田中圭の「死んだ魚の目」による静かな狂気

今作の田中圭は、得意の親しみやすいキャラクターを完全に封印。感情の読み取れない無機質な表情、いわゆる「死んだ魚の目」で、淡々と計画を進める春人を怪演しています。派手な叫びやアクションに頼らず、ただそこにいるだけで「何かが決定的に壊れている」と感じさせる演技は、今作最大の収穫です。

気になった点:序盤から中盤まで続く「キャサリン探し」の退屈さ

最大の問題点は構成のテンポです。序盤から中盤にかけて、女子高生の中に潜む別人格「キャサリン」を引きずり出そうとするプロセスが驚くほど長く、本筋である「殺害計画」のハラハラ感を完全に食ってしまっています。「そんな長尺の推理ごっこを見せられても……」と、視聴者が置いてけぼりになる時間は、単なる冗長な時間稼ぎに見えてしまうのが残念です。

向いている人・向いていない人の特徴

向いている人

  • 田中圭の「静かな闇」を堪能したい人
  • 城定監督の耽美な映像美を重視する人
  • 背徳的な「設定」そのものを楽しみたい人

向いていない人

  • キレ味鋭い「衝撃のサスペンス」を求める人
  • 納得のいく「伏線回収」と「カタルシス」が欲しい人
  • タイパ重視で、密度の高い映画を観たい人

深掘り考察:自己愛とフェティシズムの果て

欲望の正体は性愛ではなく死を完結させるための演出

一見すると東山春人は女子高生に異常な執着を持つロリコン変態野郎に見えますが、その欲望の核心は性欲よりも「死の演出」にあります。彼の目的は単なる殺害されることではなく、理想的なシチュエーションで自分の人生という作品を完結させることです。

つまり、彼にとって女子高生は愛する対象ではなく、自分の死を美しく成立させるための無機質な舞台装置に過ぎません。本作は変態的な願望の物語という以上に、自己愛が極限まで肥大化した男による、独りよがりな自己神話創作の記録と言えます。

キャサリン探しにみる主体性を奪われた少女たちの記号化

多くの視聴者が退屈に感じる中盤の「キャサリン探し」は、構成上の弱点であると同時に、春人の冷酷な支配性を象徴しています。彼は少女たちの中から自分の理想に合致する人格を選別しようとしますが、それは人格そのものを尊重しているのではなく、自分のプロジェクトに適したパーツを探しているだけです。

少女たちは主体ではなく選別対象として扱われ、人間関係は記号化された作業へと成り下がります。この徹底した人間味の欠如こそが、本作が持つ不気味さの正体です。

未知の欠如がもたらすサスペンスとしての構造的欠陥

本作がサスペンスとして機能しにくい最大の理由は、主人公の目的が最初からすべて開示されている点にあります。通常のサスペンスは「誰が、なぜ、何をするのか」という未知が推進力となりますが、本作は「彼は女子高生に殺されたい」という結論から始まってしまいます。

そのため、物語は謎解きではなく単なる「過程の確認作業」と化し、観客は緊張感よりも停滞を強く感じることになります。ゴールが最初から見えているロードムービーのような構成が、スリルを奪う致命的な欠陥となっています。

完璧な死を拒絶された男に残った記憶喪失という名の虚無

結末において、春人は自ら設計した舞台の吊り天井で首を吊り、理想の死を完遂しようとします。しかし、死に至ることはなく、命を取り留めた代償として自らの「記憶」をすべて失うという、これ以上ないほど皮肉な末路を辿ります。

人生を美しい物語として締めくくろうとした男が、その物語の核心であった「女子高生に殺されたい」という執着すら忘れ去り、空っぽな状態で生きながらえる。

理想の演出を現実が残酷に裏切ったこの結末は、自己愛に溺れた男に対する最大級の罰であり、完全な虚無の訪れを意味しています。

総評:観るべきか迷っている方へ

「女子高生に殺されたい」というタイトルや予告編から期待する衝撃を100とすると、実際の内容は30程度に感じてしまうかもしれません。サスペンス映画としての爽快感はほぼ皆無ですが、田中圭という俳優が持つ「静かな闇」を切り取ったアート作品として観るならアリ。ただし、相当な忍耐力が必要な作品です。


※本作品はAmazon Prime Videoで配信中。 プライム会員は追加料金なしで視聴可能です。(東山春人はロリコン変態野郎なのかそれとも…)

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