映画『#マンホール』は面白い?つまらない?正直レビュー|「マンホール女」とSNSを使った脱出劇

映画『#マンホール』は面白い?つまらない?正直レビュー|「マンホール女」とSNSを使った脱出劇 映画

🎬 ひとことで言うと

シネくま
シネくま

マンホールから脱出しようとする男の話、なんだけど、観ているうちに少しずつ意味合いが変わってくるよ。

シネうま
シネうま

ただ、そこに至るまでの脱出の試行錯誤がわりと長く続くから、中盤は正直単調。そこは覚悟して観たほうがいいかも。


結論:『#マンホール』は面白い?つまらない?

マンホールの底に転落し、身動きが取れなくなる――この状況設定自体は、密室系サバイバル・スリラーとしてはよくある入り口で、正直それほど目新しいものではない。見るべきところがあるとすれば、そこからSNSを使って見知らぬ他人に助けを求める、という現代的なアプローチの部分だろう。

ただし、その面白さはあくまで着想レベルにとどまっており、それだけで約99分の映画全体が面白くなっているわけではない。ご都合主義に見える展開やテンポの単調さが目立ち、SNSという切り口の面白さを、最後まで映画としての完成度に変換しきれなかった一本、というのが正直なところだ。

😴3 / 10
★★★☆☆☆☆☆☆☆

SNSで助けを求める発想はいいが、映画としては単調。

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※本ページはプロモーションを含みます。

基本情報

配信Amazon Prime Video ほか
公開/放送開始2023年2月10日
上映時間99分
ジャンルサスペンス・スリラー

あらすじと作品の特徴(ネタバレなし)

不動産会社でトップの営業成績を誇る川村俊介は、社長令嬢との結婚式を翌日に控えたエリート。仲間が開いてくれたサプライズパーティーの帰り道、酔った勢いでマンホールの穴に転落してしまう。目を覚ますと、折れた梯子で脚を負傷し身動きが取れず、頼みのスマホもGPSが誤作動を起こして現在地すらつかめない。警察はいたずらだと取り合わず、唯一つながる相手は元恋人だけ。追い詰められた川村は、SNS上に「マンホール女」というアカウントを立ち上げ、見知らぬフォロワーたちに向けて助けを呼びかけ始める――。

物語の中心がマンホールの底という密室に置かれたワンシチュエーション・スリラー。監督は『私の男』の熊切和嘉、脚本は『マスカレード・ホテル』シリーズの岡田道尚で、第73回ベルリン国際映画祭に正式招待された作品でもある。主演の中島裕翔が、マンホール内での長時間にわたる一人芝居を中心に物語を牽引する。

正直レビュー:ここが良かった・悪かった

良かった点:SNSという「もう一つの穴」の使い方

  • 「マンホール×SNS」という着想自体は面白い 通報でも救助要請でもなく、見知らぬ他人に向けてSNSで助けを求める――閉ざされた密室と開かれたネットを組み合わせる発想には、現代的な新しさがある。
  • 中島裕翔の一人芝居には見応えがある 焦りや絶望を身体ひとつで表現し続ける演技は体力勝負で、限られた画角の中でも画面を持続的に引っ張る力がある。
  • SNSが加速していく様子の見せ方にはスピード感がある 情報が増え、拡散されていく過程をテンポよく見せる演出は、実際にSNSで何かが”バズる”感覚に近く、単純な密室劇にはない緊張感を生んでいる。

気になった点:設定の面白さを活かしきれない

  • 一人芝居による脱出の試行錯誤が長く、中盤は単調 マンホール内での試行錯誤がひたすら続く構成のため、緊張感を保ち続けるのは簡単ではなく、繰り返しに飽きてくる時間帯が正直ある。
  • ご都合主義に見える展開が集中を削ぐ 都合よく進みすぎる場面がいくつかあり、集中して観るほど「そんなにうまくいくか?」と冷めてしまう瞬間がある。
  • 終盤の展開に、それまでの積み重ねが追いついていない 用意された展開は、それまでの描写に対してやや唐突に感じられ、腑に落ちにくい部分が残る。
  • 物語の核心に関わる説明があっさりしている もっとも重要なはずの部分の描写が薄いため、見終えたときに残るのは衝撃よりも消化不良の感覚の方だ。

向いている人・向いていない人の特徴

向いている人

✅ 向いている人
  • 密室・ワンシチュエーション系のスリラーが好きな人
  • 役者の一人芝居の演技力をじっくり見たい人
  • 物語の見え方が終盤でガラッと反転するタイプのミステリーが好きな人
  • SNS炎上や匿名の集団心理をテーマにした社会派スリラーに興味がある人

向いていない人

✗ 向いていない人
  • 展開のリアリティや整合性を重視して観たい人
  • 最後まで主人公に素直に感情移入して観たい人
  • 会話劇や一人芝居ベースのテンポの緩急に飽きやすい人

深掘り考察:『#マンホール』の「#」が意味するものとは?

「#」は、事件を”みんなの物語”に変えてしまう

ここで一番重要なのが、タイトルについた「#(ハッシュタグ)」だろう。「マンホール」という言葉だけなら、単純に主人公が閉じ込められた場所を意味する。しかし「#(ハッシュタグ)」が付くことで、それはSNS上で拡散される「話題」になる。

川村は助けを求めるために「マンホール女」というアカウントを作る。すると、マンホールの中で起きている個人的な遭難が、ネット上では大勢の人間が参加する出来事へと変わっていく。しかも、ネット上では断片的な情報から勝手に犯人像が作られ、それが現実の人間を傷つけるところまで発展してしまう。

つまり本作が描いているのは、単純な「SNSは怖い」という話ではない。人間は情報が足りないときほど、自分たちで都合のいい物語を作り、それを真実だと思い込んでしまう。そこが、この映画の「#」に込められた面白さだと思う。

吉田も奈津美も「情報を操る側」だった

そして終盤になると、この構造がさらに反転する。主人公・川村の正体が吉田だったことが明らかになり、奈津美もまた電話やGPS、SNSなどを利用して吉田が見る情報そのものを操作していたことが分かる。

つまり、誰か一人が情報を操っているのではない。助けを求める側も、追い詰める側も、ネット上の情報を利用して相手を動かしていた。吉田自身も最後にはSNSを利用して奈津美を追い詰めようとするが、その情報が今度は自分自身の居場所を特定する手がかりになってしまう。

このように本作では、SNSが単なる連絡手段ではなく、登場人物同士の駆け引きを動かす道具として使われている。助けを求めるための情報が別の目的に利用され、さらにその情報によって自分自身が追い詰められていく。タイトルの「#」も、こうしたSNSを介した物語の広がりを象徴しているように感じられる。

ただ、ここまで仕掛けを用意している一方で、吉田や奈津美がなぜそこまでの行動に至ったのかという人物の動機は十分に描かれていない。展開の仕組みは分かっても、その行動に至る感情の部分が弱いため、終盤の展開を素直に受け止めにくかった。

総評:観るべきか迷っている方へ

『#マンホール』は、「マンホールに落ちた男がSNSを使って助けを求める」という設定こそ非常に魅力的だ。しかし実際の本編では地道な脱出の試行錯誤が長く続き、中盤以降はやや単調さが目立ってくる。終盤の展開も、それまでの積み重ねに対して説明不足な部分があり、特に事件の核心となる動機が十分に描かれていないため、驚きよりも「なぜそこまでやるのか」という疑問が残った。

アイデアそのものは面白いが、映画としての完成度は低い。設定は魅力的なのに、脚本がその設定を活かしきれていない――全体としては「惜しい作品」という印象が強く残った。


シネうま
シネうま

仕掛けを優先するあまり、人物の動機が置き去りになっているように感じる。

STREAMING

本作はAmazon Prime Videoで配信中。
プライム会員は追加料金なしで視聴可能です。

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※配信状況は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。

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