🎬 ひとことで言うと

「クラス全員がボディガード」という一番おいしい設定を、映画は自分で持て余している。

22人それぞれに特殊スキルがあるのに、活かしきれていない。それ、もったいなくない?
結論:映画『赤羽骨子のボディガード』は面白い?つまらない?
本作の核は、「クラス全員がボディガードだった」という強力な設定だ。22人それぞれに特殊技能を持たせたことで、ここからどんな護衛劇が展開するのかという期待は大きい。
ところが、実際にはその特殊技能が十分に活かされない。「この人がいたから助かった」と思える場面が少なく、22人いることが物語の面白さにつながっていかない。
その結果、せっかくの大人数設定に押される形で、物語の中心である荒邦と骨子の関係まで薄くなってしまった。
設定は最大の武器のはずが、そのまま最大の弱点になった。
※本ページはプロモーションを含みます。
基本情報
| 配信 | Amazon Prime Video ほか |
|---|---|
| 公開/放送開始 | 2024年8月2日(劇場公開) |
| 上映時間 | 117分 |
| ジャンル | アクション、コメディ |
あらすじと作品の特徴(ネタバレなし)
ヤンキー高校生の威吹荒邦(ラウール)は、幼馴染の赤羽骨子(出口夏希)に片想い中。ある日、国家安全保障庁長官・尽宮正人(遠藤憲一)に呼び出され、骨子に100億円の懸賞金がかけられたと知らされる。骨子は正人の実の娘で、敵対勢力から世界中の殺し屋に狙われる立場だった。
条件はひとつ。骨子本人には出自も危険も一切知らせないこと。荒邦は「気づかれずに守る」という役目を背負い、骨子のクラスに加わる。そこにいたのは学級委員長・染島澄彦(奥平大兼)をはじめとする3年4組。実はクラス全員が、幼い頃から訓練を受けた骨子専属のボディガードだった。
骨子を狙う殺し屋たちが迫るなか、荒邦はクラスメイトたちと協力しながら、骨子に気づかれずに彼女を守り抜かなければならない。

正直レビュー:ここが良かった・悪かった
良かった点
- 正親が登場すると、物語がしっかり動く正親には骨子を狙うという明確な目的があり、荒邦との対峙を通して物語が進んでいく。クラスメイトたちとは違い、キャラクター自身が展開を動かしているところは良かった
- ラウールの長身が主役として映える長身を活かした立ち姿は画面映えし、荒邦が登場するとしっかり主役感が出る。派手なアクションが多い作品ではないからこそ、画面に立ったときの華は印象に残った
気になった点
- 特殊スキルを活かしきれていない22人それぞれに特殊な能力があるのに、その能力が物語の中で活躍する場面が少ない。「この人がいたから助かった」と思えるところまで描けていない
- ボディガードなのに、守る面白さが弱い大人数で骨子を守っているため、危険が迫っても「誰かが対処するだろう」という安心感が先に立つ。守る側と狙われる側の攻防に、もう少しハラハラする展開がほしかった
- 荒邦と骨子の関係が薄い荒邦は骨子に片想いをしていて、しかも本人には何も知らせずに守らなければならない。この設定なら、二人の関係をもっと物語の中心に置いてほしかった
向いている人・向いていない人の特徴
向いている人
- ラウールや土屋太鳳など、キャストを目当てに観たい人
- 大人数で繰り広げる賑やかな展開を楽しみたい人
- 気軽に観られるアクションコメディを楽しみたい人
向いていない人
- 荒邦と骨子の関係をしっかり描いてほしい人
- 22人それぞれの特殊スキルを活かした展開を期待する人
- 原作漫画の設定やキャラクターを実写でもしっかり楽しみたい人
映画『赤羽骨子のボディガード』に原作はある?
原作は丹月正光による同名漫画。『週刊少年マガジン』で連載された作品で、映画版はこの漫画を実写化したものだ。
「本人には何も知らせずに守る」というルールのもと、荒邦が潜り込んだ3年4組は、クラス全員が骨子を守るために集められたボディガード。司令塔、空手家、罠師、スナイパー、ハッカー、詐欺師、忍者、拷問官まで、22人それぞれが異なる特殊技能を持っている。
高校のクラスメイトが、実は全員ボディガードだった――。この設定だけでもかなり異色で、しかも荒邦は骨子に片想いをしているのに、彼女には何も知られてはいけない。恋愛と護衛が同時に進んでいくところも、本作ならではの面白さだ。
映画を観て「もっとキャラクターのことを知りたい」と感じた人は、全12巻の原作漫画で、それぞれのキャラクターや設定をさらに楽しんでみるのもいいだろう。
深掘り考察:「面白くなりそうな設定」が、なぜ映画では活きなかったのか
「クラス全員がボディガード」は、最大の武器であり最大の弱点
3年4組の22人全員が、幼い頃から鍛えられた骨子専属のボディガード。司令塔、スナイパー、ハッカー、忍者、拷問官まで揃う設定は、それだけでかなり魅力的だ。
ただし、これを117分の映画で描くとなると話が変わってくる。
22人それぞれを紹介し、特殊技能を見せ、さらに荒邦と骨子の関係まで描かなければならない。全員をしっかり掘り下げるには尺が足りず、かといって人数を減らせば「クラス全員がボディガード」という設定の面白さが薄れてしまう。
本作はその難しさがそのまま画面に出ている。22人いることは伝わるものの、物語の中で誰が何を担っているのかが薄くなり、結果として中心にある荒邦と骨子の関係まで十分に描き切れていない。
「知られずに守る」が、物語の中であまり実感できない
本作の面白さは、骨子を敵から守るだけではない。骨子本人に何も知らせず、正体を知られないまま1年間守り抜くというところにある。
ところが、映画を観ていると、この「知られずに守る」という部分があまり実感できない。
荒邦たちが骨子の知らないところで動いていても、骨子が普段通り学校生活を送る場面とのつながりが弱い。そのため、「骨子は何も知らずに過ごしているが、その裏では危険が迫っている」という構図が、うまく伝わってこない。
100億円の懸賞金がかけられ、世界中の殺し屋に狙われているという設定なら、骨子がいつも通り過ごしている裏側で、荒邦たちが危機を察知し、本人に気づかれないよう処理していく展開がもっとあってもよかった。
実際、骨子のいる場所で大きな危険が描かれる場面は限られている。特に正親が登場する場面では、骨子を狙う側と守る側が直接ぶつかるため、ここではじめて「本当に骨子を守っている」ということがはっきり伝わる。
逆に言えば、それ以外では「骨子には知られてはいけない」という設定があるだけで、それが日常の中でどう物語を動かしているのかが見えにくい。
「知られずに守る」なら、骨子が何も知らずに笑っている一方で、そのすぐ裏では荒邦たちが危険を処理している。そんな「表の日常」と「裏の護衛」の対比を積み重ねれば、この設定ならではの面白さがもっと出たはずだ。
守っている設定はある。でも、「守る」という行為そのものが、物語のドラマになっていない。そのため、「クラス全員がボディガード」という設定の大きさに対して、護衛劇としての面白さが弱く感じられてしまった。
つまり問題は、22人という人数そのものではない。「クラス全員がボディガード」という大きな設定を、映画の限られた尺の中でどう物語に落とし込むか。そこに本作の難しさがあったように感じる。
総評:観るべきか迷っている方へ
内容自体はシンプルでわかりやすく、気軽に観られる作品。ただ、序盤から登場人物が多く、物語に深く関わってこないキャラクターもいるため、最初から少しごちゃごちゃした印象を受けた。
ラウールや土屋太鳳など、キャストを目当てに観るなら楽しめる場面もあるが、個人的にはもう少し登場人物を絞ったほうが、荒邦と骨子の物語を楽しめたと思う。

人は多い。でも、物語は意外とシンプル。
本作はAmazon Prime Videoで配信中。
プライム会員は追加料金なしで視聴可能です。
※配信状況は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。


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