映画『グッドバイ、バッドマガジンズ』は面白い?つまらない?正直レビュー|エロ本編集部を描く異色のお仕事映画

映画『グッドバイ、バッドマガジンズ』は面白い?つまらない?正直レビュー|エロ本編集部を描く異色のお仕事映画 映画

🎬 ひとことで言うと

シネくま
シネくま

エロ本が消えていく話なのに、最後に残るのは「エロ本は必要か」という答えではない。もっと大きな問いだった。

シネうま
シネうま

時代が変わり、ひとつの文化が消えていく。その先に、何が残っていくのか。そんなことを考えさせられる映画である。


結論:映画『グッドバイ、バッドマガジンズ』は面白い?つまらない?

成人誌を笑いものにせず、生活のかかった仕事として描いた。そこが、この映画のいちばんの良さだ。

題材の意外さだけで終わらず、編集部の仕事を通して、ひとつの文化が消えていく過程を描いている。その一方で、成人誌を題材にしているからこそ、もう少しエロに振り切った展開があってもよかった。架乃ゆらを出演させているだけに、そこをもっと活かしてほしかったというのが正直なところである。

真面目に仕事を描く方向性は面白い。だからこそ、もう一歩踏み込んでほしかった作品である。

🤔5 / 10
★★★★★☆☆☆☆☆

成人雑誌の真面目なお話。マイルドエロはあるが、期待するほどエロくはないので注意。

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※本ページはプロモーションを含みます。

基本情報

配信Amazon Prime Video ほか
公開/放送開始2022年10月28日(劇場公開)
上映時間102分
ジャンルヒューマンドラマ、コメディ、お仕事(PG12)

あらすじ(ネタバレなし)

オシャレなサブカル雑誌が大好きな森詩織(杏花)は、念願かなって出版社に就職する。ところが入社初日、お目当てのサブカル誌の休刊を知らされ、配属されたのは男性向け成人雑誌の編集部だった。

理想とのあまりの違いに戸惑う詩織だったが、女性編集長の澤木やライターのハルら、仕事として「エロ」と向き合う人々に刺激を受け、次第に編集部の仕事にのめり込んでいく。

しかし、編集部での仕事が順調に進んでいく一方、成人雑誌を取り巻く環境は少しずつ変化していく。やがて詩織は、自分が携わってきた仕事と、これからの時代について考えることになる。

正直レビュー:ここが良かった・気になった

良かった点:成人誌編集部の仕事を、真剣に描いた面白さ

  • 生活のかかった仕事として描いている題材だけなら笑ってしまいそうな仕事を、本人たちはいたって真剣にやっている。その温度差が面白く、業界が消えていく寂しさにもつながる。
  • 杏花の演技が、詩織の成長を支えている『I”s(アイズ)』の秋葉いつき役で知った人もいるかもしれない杏花。子役時代からキャリアを重ねてきた彼女が、理想と現実のギャップに戸惑う新人編集者から、仕事に向き合うようになる詩織を自然に演じている。

気になった点:もっと娯楽に振り切ってほしかった

  • 終盤は少し展開が急前半はクセのある編集部の面々や、成人誌づくりの面白さが描かれていて楽しい。だからこそ、終盤で詩織の内面に話が移っていくところは、もう少し自然につないでほしかった。
  • 題材のわりに、思ったほどエロくない成人誌がテーマなので、もう少し大胆な展開を期待していた。実際はかなりマイルドで、エロを楽しむというより、業界の裏側を描く真面目なドラマという印象が強い。そこは好みが分かれるところだろう。

向いている人・向いていない人の特徴

向いている人

✅ 向いている人
  • ちょっと変わった題材の映画を観たい人
  • エロ本の編集部や出版業界の裏側に興味がある人
  • 笑える場面もありつつ、最後に考えさせられる映画が好きな人

向いていない人

✗ 向いていない人
  • エロいシーンをたっぷり楽しみたい人
  • 成人雑誌を題材にした、刺激的な展開を期待する人
  • 最後にスッキリと答えが出る映画が好きな人

『グッドバイ、バッドマガジンズ』は実話?

本作は原作小説や漫画の映画化ではなく、実際の成人誌編集部で起きた出来事をもとにしたオリジナル作品である。

プロデューサーの宮嶋信光は、かつて成人誌の編集者として働いていた人物。横山翔一監督も、宮嶋の経験談を聞いたことから企画を膨らませ、約30人の業界関係者への取材を重ねて脚本を作り上げた。

興味深いのは、当初から今のような仕事ドラマを目指していたわけではないこと。監督のインタビューによると、最初はもっとエロ要素の強い作品として企画されていたという。取材を進めるうちに、編集部で働く人々の姿や、業界が消えていく時代のドラマへと物語が変化していった。

本作の初期タイトル案は『エロ本 of the dead』。ゾンビ映画になぞらえ、衰退しているのになかなか死なない成人誌業界を表現したタイトルだった。

深掘り考察:エロ本が消えた先に残ったもの

「バッド」なのは、雑誌だけだったのか

『グッドバイ、バッドマガジンズ』で描かれるのは、成人誌が時代の変化によって居場所を失っていく姿だ。

成人誌には賛否がある。しかし、雑誌が社会から歓迎されなくなることと、そこで働いてきた人々の仕事に価値がなかったことは、別の話ではないだろうか。

編集部の人間たちも、売上に悩み、企画を考え、締め切りに追われながら働いている。扱う題材は特殊でも、仕事に向き合う姿はほかの職場と変わらない。

社会が不要だと判断したものは、そこで働いてきた人々の努力まで見えにくくしてしまう。 本作のタイトルには、成人誌への評価だけでは割り切れない、そんな皮肉も読み取れる。

詩織は「エロ」を理解したのか

サブカルチャー誌を作りたかった詩織は、希望とは違う成人誌の編集部で働くことになる。最初は戸惑いながらも、経験を積むうちに、読者の興味を引く企画を考え、性を雑誌という商品にする技術を身につけていく。

ただし、性を仕事として扱えることと、人間の欲望を理解することは同じではない。

売れる企画を作るには、読者が何を求めているのかを見極める必要がある。しかし、それは人間の欲望そのものを理解することとは違う。

詩織は編集者として成長していく。けれど、仕事ができるようになることと、自分が知りたいことの答えを見つけることは別なのだ。

詩織が最後にたどり着いた問い

ラストで詩織が口にするのは、「人はなぜセックスをするのか」という問いだ。

それまで彼女は、雑誌を売るために性を考えてきた。ところが最後には、売れる企画を作るためではなく、人間そのものへの疑問を抱いている。

雑誌を作るために欲望を考えていた詩織が、最後には、欲望そのものを考えたいと思うようになった。

澤木の言葉によって、その疑問は記事を書くという次の一歩につながっていく。詩織は答えを見つけたわけではない。それでも、自分が何を考え、何を書きたいのか、その手がかりをつかんだのだ。

成人誌の編集部はなくなった。しかし、そこで働いた経験まで無駄になったわけではない。ひとつの仕事が終わっても、そこで生まれた問いは残る。

総評:観るべきか迷っている方へ

エロ本が消えていく時代のなかで、必死に仕事と向き合う編集部の人々。滑稽で、どこか憎めない彼らの姿には、時代に取り残されていくものの哀愁が漂う。

ひとつの時代が終わっていく寂しさと、そこで働く人々の姿が印象に残る作品だ。


シネうま
シネうま

どんなことでも、真剣に向き合えば見えてくるものがあるのかもしれないね。

STREAMING

本作品はAmazon Prime Videoで配信中。
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