映画『スオミの話をしよう』は面白い?つまらない?正直レビュー|笑いにも謎解きにも振り切れない三谷幸喜作品

映画『スオミの話をしよう』は面白い?つまらない?正直レビュー|笑いにも謎解きにも振り切れない三谷幸喜作品 映画

🎬 ひとことで言うと

シネくま
シネくま

「夫ごとに別人に見えるスオミ。本当の彼女は、いったい何者なのか?」

シネうま
シネうま

「夫によって印象がまるで違うんだよね。いったい何が本当なんだろう?」


結論:映画『スオミの話をしよう』は面白い?つまらない?

本作は、夫ごとに異なる顔を見せるスオミを通して、「本当の彼女は何者なのか」という謎を描く映画である。

彼女を知っているはずの男たちが語る姿は、驚くほど食い違っている。誰の前にいたスオミが本当の彼女なのか。そんな疑問を抱かせる設定は魅力的で、序盤から先の展開に興味を引かれる。

ただ、期待が大きかったぶん、観終わったあとの物足りなさも残った。興味深い設定が、物語全体の深みにつながりきっていない。そんな惜しさを感じる作品である。

⚠️4 / 10
★★★★☆☆☆☆☆☆

謎は魅力的。だが、深みが足りない。

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※本ページはプロモーションを含みます。

基本情報

配信Amazon Prime Video ほか
公開/放送開始2024年9月13日(劇場公開)
上映時間114分
ジャンルミステリーコメディ(サスペンス・ミステリー/コメディ)

あらすじと作品の特徴(ネタバレなし)

舞台は、著名な詩人・寒川しずおの豪邸。刑事の草野圭吾が訪れると、寒川の新妻であり、草野の元妻でもあるスオミが、昨日から行方不明になっていた。草野は正式な捜査を求めるが、寒川は大ごとにしたくないという。

やがて、スオミの過去を知る男たちが次々と集まってくる。彼らはそれぞれスオミとの思い出を語り始めるが、口にする彼女の姿は、見た目も性格もまるで別人のように食い違っていた。

脚本・監督は三谷幸喜。『記憶にございません!』以来、5年ぶりの映画作品となる。主演は長澤まさみ。西島秀俊、松坂桃李、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎らが共演する。

正直レビュー:ここが良かった・悪かった

良かった点:夫ごとに異なるスオミの姿が、謎を生む

  • 5人それぞれが信じる「本当のスオミ」5人の夫が語るスオミは、見た目も性格もまるで違う。それぞれが「本当の彼女を知っている」と信じているからこそ、証言の食い違いがスオミの正体への興味をかき立てる。
  • 演じ分けで魅せる長澤まさみの表現力夫ごとに異なる人物像を成立させているのが、長澤まさみの演技である。相手によって印象を変える演じ分けが、スオミのつかみどころのなさを際立たせている。

気になった点:設定の面白さに、中身が追いついていない

  • 謎の面白さが、最後まで続かない「スオミは何者なのか」という謎に引き込まれる序盤。しかし、物語が進んでも謎は期待したほど深まらず、ミステリーとしての緊張感や意外性に欠ける。魅力的な設定を、最後まで活かしきれていない。
  • コメディなのに、笑いどころが少ない三谷幸喜作品らしいコメディを期待していたが、思ったほど笑える場面がなかった。個性的な登場人物の掛け合いも笑いにつながりにくく、コメディとしての面白さは物足りない。

向いている人・向いていない人の特徴

向いている人

✅ 向いている人
  • 長澤まさみの演技を楽しみたい人
  • 三谷幸喜の会話劇が好きな人
  • 登場人物の語る「スオミ像」の違いを楽しみたい人

向いていない人

✗ 向いていない人
  • 本格的なミステリーを楽しみたい人
  • 笑いやテンポのよさを重視する人
  • 深みのある人間ドラマを求める人

深掘り考察:スオミは自分自身を見つけたのか

5人の夫が語るスオミは、彼女の姿なのか、それとも男たちの願望なのか

5人の夫が語るスオミは、見た目も性格もまるで違う。しかし、違っているのはスオミの姿だけではない。夫たち自身もまた、それぞれ異なる欲求を抱えている。

自分のストイックさや、女に振り回される自分に満足する男。妻をビジネスの相棒として扱うと言いながら、主導権は手放さない男。言葉が通じなくても、物を与えることで愛情を示したつもりになる男。妻を管理し、自分より下の存在として扱いたい男。そして、妻を自分の所有物のように考え、理想の妻を求める男。

彼らに共通しているのは、スオミ自身を理解しようとするよりも、自分にとって都合のいい妻の姿を求めていることだ。スオミは相手の望む女性を演じることで、彼らの期待に応えてきた。しかし、夫たちが求めていたのは、ありのままのスオミではなく、自分の欲求を満たしてくれるスオミだったのではないだろうか。

では、スオミはなぜ、そこまで相手に合わせてきたのか。気に入られるために相手の望む姿を演じることは、関係を築く手段になる。だが、それを続ける限り、自分自身の望みよりも相手の期待を優先することになる。夫たちがそれぞれ自分の理想をスオミに求めていたように、彼女もまた、相手に合わせることで関係を成立させようとしていたのかもしれない。

終盤、スオミは気に入られるために相手に合わせる生き方をやめ、これからは人に頼らず生きたいと語る。その言葉は、ただ夫たちとの関係を終わらせるという意味ではない。他人の望む自分を演じるのではなく、自分の人生を自分で選ぼうとする決意とも受け取れる。

十勝に「誰が一番だったのか」と問われたスオミは、全員を愛していたと答える。それが本心だったのか、最後まで断定はできない。ただ、夫たちがそれぞれ自分の望むスオミを愛していたのだとすれば、彼女が本当に求めていたものは、誰かの理想に応えることではなく、誰かに合わせなくても成立する関係だったのかもしれない。

狂言誘拐で、スオミは何を手に入れようとしたのか

スオミの狂言誘拐は、夫たちを巻き込んだ大胆な計画だった。彼女は5人の夫それぞれの性格や立場を把握し、彼らがどう動くかを見越して計画を進めていく。相手の望む姿を演じてきたスオミが、今度は相手の性格を利用し、自分の目的のために動かそうとするのだ。

この変化は、他人に合わせるだけの生き方から抜け出そうとする行動にも見える。これまでのスオミは、相手が望む女性になることで関係を築いてきた。しかし、狂言誘拐では自分が主導権を握り、夫たちを計画の中に組み込んでいく。相手に振り回されるのではなく、自分の意志で状況を動かそうとしている点が大きく異なる。

終盤、スオミは気に入られるために相手に合わせる生き方をやめ、人に頼らず生きたいと語る。そう考えると、狂言誘拐は夫たちから逃げるためだけではなく、自分の人生を自分で選ぶための行動だったとも解釈できる。

ただし、ここには矛盾もある。他人に頼らず生きると決めたスオミは、その目的を果たすために、夫たちの性格を読み、彼らを計画どおりに動かそうとした。相手に合わせる生き方をやめても、他人を利用する形でしか自分の望みを実現できないのだとしたら、彼女は本当にこれまでの生き方から抜け出せたのだろうか。

ヘルシンキを目指したスオミ。その結末は物語の必然だったのか

スオミが最後に向かうフィンランドは、父とのつながりや自身のルーツを象徴する場所として描かれる。しかし、三谷幸喜監督の発言によれば、主人公の名前「スオミ」は偶然目に留まった言葉だったという。さらに、ラストのミュージカルも、キャストと一緒に踊りたいという監督の思いから生まれたものだという。

こうした制作経緯を知ると、スオミが自分のルーツへ向かう展開も、物語の必然というより、名前から生まれた設定とミュージカルを結びつけた結果のように見えてくる。もちろん、制作のきっかけが偶然だったこと自体は問題ではない。重要なのは、その発想がスオミの人物像や物語の結末に、十分な説得力を与えられているかどうかだ。

人に合わせる生き方をやめ、自分の人生を選ぼうとするスオミ。その決意には意味がある。しかし、フィンランドへ向かうことが彼女にとって何を意味するのか、そしてラストのミュージカルが彼女の変化をどう表現しているのか、十分に伝わってこない。監督がやりたかった演出と、物語が描こうとした人物の変化。その二つが十分に結びついていないことが、惜しさとして残る。

総評:観るべきか迷っている方へ

個性豊かなキャストが揃い、長澤まさみの演じ分けも見どころ。しかし、コメディとしてもサスペンスとしても中途半端で、結末も想像の域を出ない。

豪華なキャストを活かしきれず、どこか物足りなさが残る。キャストの無駄遣いと感じてしまう作品である。


シネうま
シネうま

スオミというより、コンフィデンスマンJPのダー子だった。

STREAMING

本作はAmazon Prime Videoで配信中。
プライム会員は追加料金なしで視聴可能です。

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※配信状況は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。

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