🎬 ひとことで言うと

もともとこれは、鞘師里保の脱力した空気感をだらっと楽しむドラマだった。続編は、そこに余計な味付けをしてしまった。

ドラマを観たかったわけじゃない。レシピにもそこまで期待していない。それでも成立していたのが前作だったのに。
結論:ドラマ『めんつゆひとり飯2』は面白い?つまらない?
前作『めんつゆひとり飯』は、鞘師里保の脱力した空気感を、だらっと楽しめることが魅力だった作品。本作では新キャラクターや人間ドラマの要素が増えたが、その変化は個人的にはあまり好みに合わなかった。
本作がつまらないというよりも、「続編として何を変えるべきか」の方向性が少し違っていたように感じた。前作は何も起きない時間を楽しむドラマだったが、シーズン2では人間関係や新キャラクターを増やしたことで、そのゆるさがやや失われている。前作の空気感が好きだった人ほど、違和感を覚える可能性は高いだろう。
鞘師里保の魅力は変わらず楽しめる一方で、前作のような気軽さや空気感はやや薄れている。シーズン1が好きだった人ほど評価は分かれる続編だと思う。
足し算が、この作品本来の魅力を薄めてしまった。
※本ページはプロモーションを含みます。
基本情報
| 配信 | Amazon Prime Video ほか |
|---|---|
| 公開/放送開始 | 2024年10月2日(放送開始) |
| 話数 | 全13話 |
| ジャンル | コメディ、グルメ |
あらすじと作品の特徴(ネタバレなし)
通販会社YARANAIの経理部で働く独身OL・面堂露(鞘師里保)は、相変わらず筋金入りのめんどうくさがり屋。今作でも「めんつゆ」を武器に、独自のズボラレシピを次々と編み出していく。十越いりこ(山口まゆ)、保ヶ辺勉(加治将樹)、屋良内南藻(ふせえり)といった前作メンバーはそのまま続投している。
今作から新たに加わったのが、めんつゆではなくポン酢を万能調味料として推す広報部の本栖ゆずな(桃月なしこ)。舞のライバル的な立ち位置で、保ヶ辺を巡る三角関係めいた空気も生まれる。さらに、いりこの弟で料理に妥協を許さない就活生・本出克雄(ゆうたろう)、露の姉で隠れズボラな面堂草子(筧美和子)も新規参入した。露の後輩・白田舞は今作から三原羽衣が演じている。
露の心の中に現れる「十越さんの幻影」や、舞の「女狐リスト」など、前作でおなじみの演出は今作にも引き継がれている。

正直レビュー:ここが良かった・悪かった
良かった点:鞘師里保の空気感は健在
- 鞘師里保の存在感は変わらず強い ─ 脱力した空気感やコミカルな表情の作り方は前作から一貫していて、彼女の空気感を楽しむという意味では今作でも十分に成立している。
- 続投キャラの掛け合いに懐かしさはある ─ 山口まゆ・加治将樹・ふせえりとのやり取りは、前作を観ていれば違和感なく楽しめる。
- 前作のテンポは大きく崩れていない ─ 1話完結で気軽に観られる構成は変わらず、深く考えずに流し見できる気楽さは残っている。
気になった点:だらっと観るだけで良かったドラマが、欲張りすぎた
- 本栖ゆずなの起用が一番惜しい ─ 舞のライバルとして保ヶ辺を巡る三角関係を演出し、露のめんつゆ一筋という核にすらポン酢への浮気という揺さぶりをかけてくる。新キャラ3人の中でもっとも物語を動かそうとした人物だが、その分もっとも「無理に物語を広げようとしている」感触も強く、一番浮いてしまっている。
- 主要5人で完結していた構造が崩れた ─ 本出克雄や面堂草子など、本筋に絡みきらないキャラクターも増え、1話あたりの密度が前作より散漫になった回がある。
- 白田舞のキャスト変更で人物像が薄まった ─ 三原羽衣の芝居自体の問題というより、岡本夏美が体現していた舞特有のバランス感が、そのままの形では引き継がれていない印象を受けた。
向いている人・向いていない人の特徴
向いている人
- ドラマとしての完成度より、鞘師里保の空気感を楽しみたい人
- 前作を観て、続投キャラたちのその後が気になる人
- 新キャラも含めて、にぎやかな群像劇として楽しみたい人
向いていない人
- 前作の「5人だけで完結する密度」が好きだった人
- 白田舞というキャラクターに前作から強い思い入れがある人
- レシピそのものに強い実用性・新鮮さを求めている人
原作漫画との違いは?
本作の原作は瀬戸口みづきによる4コマ漫画『めんつゆひとり飯』。めんつゆを使ったズボラレシピと、主人公・面堂露の日常をテンポ良く描く作品で、物語性よりもアイデアレシピと軽妙なギャグが魅力となっている。
ドラマ版では4コマを20分超のエピソードへ広げるため、レシピをひらめいた際の演出や「心の十越さん」の実写化、エンディングダンスなどオリジナル要素が追加された。シーズン2では原作に登場していた本栖ゆずな・本出克雄・面堂草子らも実写版へ加わり、前作より登場人物の幅が広がっている。原作では登場していたキャラクターを実写版でも取り入れ、世界観を広げようとした点は、原作ファンには楽しめる要素だろう。
深掘り考察:なぜ足すことが、このドラマの魅力を削ってしまったのか
「ズボラ」は引き算のドラマだった
前作の露が体現していた「ズボラ」は、選択肢を減らし、工程を減らし、人間関係すら大きく動かさないことで成立する、いわば引き算の哲学だった。今作はそこに、ポン酢という対抗馬や、舞とゆずなの三角関係めいた緊張など、新キャラクターという足し算を持ち込んでいる。ただ、1話あたり20分強・レシピ2品という尺では新キャラの背景まで描き込む余裕はほとんどなく、人数が増えたわりに、誰と誰の関係を軸に観ればいいのかという焦点はむしろぼやけてしまった。
キャスト変更が与えた影響
個人的に一番惜しいのは、白田舞というキャラクターへの影響だ。前作では岡本夏美が演じていたが、今作では三原羽衣に交代している。三原羽衣の芝居自体が拙いわけでは決してない。ただ、前作の舞が持っていた「本来小食なのに保ヶ辺のために無理して大食いする」という切実さと可笑しさの絶妙なバランスは、岡本夏美の演技が加わることで、より魅力的に成立していたように感じる。同じ脚本のニュアンスを別の俳優が同じ強度で再現するのは簡単なことではなく、キャラクターは脚本だけでなく、演じる俳優との組み合わせで初めて完成するのだと改めて感じさせるケースだった。
続編は何を変えてしまったのか
『めんつゆひとり飯』が成立していた理由は、鞘師里保を”だらっと眺める時間”があったからだ。続編は登場人物や人間ドラマを増やしたことで、その余白を削ってしまった。足したこと自体が悪いのではない。この作品に必要だったのは、足し算ではなく、前作と同じ引き算だった。
総評:観るべきか迷っている方へ
前作が好きだった人ほど評価は分かれる続編だと思う。鞘師里保の魅力は変わらないが、その魅力を生かしていただらっと観られる空気感は薄れてしまった。変化を楽しめる人には悪くないが、前作の空気を期待すると肩透かしを感じる可能性が高い。
シーズン1を未視聴なら極端に評価が下がる作品ではないかもしれない。しかし、前作のゆるい空気感が好きだった人ほど、今回の変化には違和感を覚えやすいだろう。その変化をどう受け止めるかで、本作の評価は大きく分かれる。

めんつゆは一本で十分だった。ドラマまで濃くする必要はなかった。
本作はAmazon Prime Videoで配信中。
プライム会員は追加料金なしで視聴可能です。
※配信状況は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。


白田舞は岡本夏美が良かった

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